公開日: 2026-04-09
- お問い合わせ: Contact sales
- 企業規模: 中堅市場 (Mid-market)
- 地域: Asia-Pacific & Oceania
- 業界: Technology, Media, Entertainment & Sport
- 製品: ChatGPT, Codex
- 結果: 93%(ChatGPT Enterprise の月間アクティブ利用率)
概要
CyberAgent はインターネット広告、メディア&IP、ゲームなどを手がける日本の企業です。「21世紀を代表する企業をつくる」というビジョンのもと、技術とクリエイティビティを強みに国内外で新たな価値を創出しています。CyberAgent における AI は単発の先進的施策ではなく、事業成長と業務設計を支える基盤技術として位置付けられており、継続的な投資が行われています。
- 2016 年に「AI Lab」を設立し、デジタルマーケティングに関連する幅広い AI 技術の研究開発を推進
- 2023 年に「AI Operations Office」を立ち上げ、AI を業務変革の手段として活用するための組織体制を構築
これらの取り組みの中心にあるのが ChatGPT Enterprise と Codex の導入です。広告、メディア、ゲームといった事業特性上、品質と生産性の同時改善や仮説検証の高速な反復が競争優位となります。ChatGPT Enterprise をAI環境の基盤に据えたことで、強固なセキュリティと管理機能により従業員が日常業務で安心して AI を利用できるようになりました。リサーチ、草案作成、要点整理などで ChatGPT を使うのが標準になりつつあり、最終的な意思決定は人が担っています。Codex は設計議論、コードレビュー、ドキュメント作成などで迅速化を後押ししています。
ChatGPT Enterprise が安全な AI 導入を可能にした方法
生成系 AI が登場する以前から、CyberAgent は広告領域で AI の研究開発を進めてきました。2020 年には「Kiwami Prediction AI」を導入し、広告クリエイティブ制作プロセスへの AI 統合を推進しました。ChatGPT の登場(2022 年)以降、従業員の日常業務における AI 利用は急速に広がりましたが、ビジネス活用が増えるにつれて、セキュリティやガバナンス、運用ルールの強化が重要になりました。
主な課題は、どの情報を AI ツールに入力して良いか分からない不安が利用の慎重化や導入の停滞を招く点、部門や個人ごとに利用状況がバラつきナレッジ共有や一元管理が難しい点でした。
これらに対して CyberAgent は ChatGPT Enterprise を採用しました。ChatGPT Enterprise は企業利用に適した管理機能を備えており、契約や設定、運用方針に応じた入力データの取り扱い管理が可能です。企業レベルのセキュリティやアクセス制御により、従業員は安心して日常業務に AI を組み込めるようになりました。社内では機密情報の取り扱いに関するガイドラインも整備しています。
「アカウント管理や利用状況の可視化といったエンタープライズ機能により、機密データを除く幅広い情報の業務活用を支援できる環境が整いました。その結果、社内での AI 利用範囲が広がり、多くの従業員が日常業務で利用するようになりました。」
— Ken Takao(Corporate IT Promotion Division, Data Technology Department マネージャー)
強制せずに広がった理由
CyberAgent は組織横断でツールの利用を一律に強制することは基本的に行いません。ChatGPT Enterprise も例外ではなく、各チーム・部門・子会社が目的に応じて他ツールと比較検討した上で採用を決めています。それにもかかわらず、現在ではほぼ全社で利用され、月間アクティブ利用率は 93% に達しています。
この成長を支えたのは、社内文化づくりと OpenAI による継続的なトレーニングサポートです。
- ナレッジ共有(プロンプトや成功事例の共有)、社内ランキングによる自分の利用状況の可視化(個人は自分のデータのみ参照可能、評価目的では使用しない)など、積極的な利用を促す仕組みを導入
- 一定期間ツールを使っていない従業員には Slack 上のボットが利用理由をヒアリング。別の AI ツールを使っている場合は用途を整理し、未利用の場合は業務への活用提案や実践的なヒントを提供
- OpenAI 主催のトレーニングやワークショップを複数回開催。告知から数日で開催することもあるが、10 回以上のセッションでそれぞれ 100 名超が参加
- 内容は「ChatGPT Enterprise 101」のような入門から、custom GPT、Codex のハンズオン、社内ハッカソンまで多岐にわたる
- CyberAgent と OpenAI が共同で、役割や成熟度に応じた学習機会を設計し、実践的に AI の初成功体験を積める支援を実施
これらにより、強制ではなく自発的な採用拡大が実現しました。
導入前の意思決定を改善する Codex の活用
Codex の導入は CyberAgent 全体で急速に広がっています。単なるコード生成ツールとしてだけでなく、設計、合意形成、評価など上流工程での活用が増えており、早期のより良い意思決定が後工程の手戻り削減につながっています。
主なユースケースは以下のとおりです。
- 提案された設計を複数の観点からレビュー、評価、プレッシャーテストする
- コードレビュー中に改善案を生成し、複数案から選択する
AGENTS.md のような知識ドキュメントを構築・維持して、エージェントがより豊かなコンテキストで動けるようにする
Codex 利用の主な効果:
- 複数視点で評価できる提案により設計品質が向上
- 実装前のアラインメントが速くなり、後の手戻りを削減
- 提案の理由が明確になり、意思決定が迅速化
Codex はエンジニアリング領域を越えて拡がりつつあり、非開発者が仕様作成、モック作成、プロダクトや開発に隣接する業務構造化に利用するケースも出ています。内部的には、ChatGPT の社内採用を可視化して盛り上げるための社内利用ランキングシステムを Codex で構築した例もあります。
Codex がチームの迅速化と自信向上に貢献する方法
開発チームでは Codex を単なるスピード向上ツールと見るだけでなく、判断の質を高める手段と捉える傾向が強まっています。AI Business Division の上位ユーザーの一人である Sou Yoshihara は、Cursor の MCP を通じて Codex を利用し、Kiwami Prediction AI の設計・実装計画に活用しています。
「他のコーディングモデルと比べて、Codex はより高品質な提案を出す印象があり、それ自体が単なるツールではなく、開発プロセス全体を最適化する手段だと感じています。」
— Sou Yoshihara(AI Business Division)
ゲーム開発でも同様の傾向が見られます。GOODROID の Hidekazu Hora は、Codex によって設計→実装→検証の流れがスムーズになったと述べています。Hora はゲーム『WormEscape』の開発で Codex を活用し、約 1 か月程度でソフトローンチに至りました。
「実装の議論から実行まで、プロセス全体を支援してくれる信頼できるパートナーのようでした。Codex を使うことで、経験のない領域でも知識不足による行き詰まりを早く解消でき、品質と速度の両立に寄与したと感じています。」
— Hidekazu Hora(Developer, GOODROID)
社内では用途は様々ですが、共通しているのは「使いやすさ」と「出力の品質」が継続利用の原動力になっている点です。Codex は単に作業を速めるだけでなく、より自信を持って前に進めるよう手助けしています。
今後の展望
CyberAgent は AI を一時的なブームとは見なしておらず、インターネット業界の次の標準の一部になる転換点と位置付けています。AI Lab を長期的な技術進化と事業応用のエンジンとし、AI による価値創出を組織全体でさらに拡大していく計画です。
特に注目すべきは、採用規模だけでなく採用の広がり方です。包括的な強制がない文化の中で、各チームが自分たちに合うツールを選び、使いこなし、採用を促進する仕組みを自ら構築しています。ChatGPT Enterprise と Codex は単なる生産性向上ツールを超え、AI を日常業務に組み込み、業務の在り方そのものを再設計する役割を果たしています。
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