Published: 2026-06-12
概要
Preplyは世界最大規模のオンライン語学学習マーケットプレイスで、100,000人以上の専門チューターと学習者を180か国以上でつないでいます。90以上の言語に対応したマンツーマン指導を通じて、「高品質な語学教育を誰もがどこでも受けられるようにする」ことをミッションとしています。
人間中心の学習を補完するAI
語学学習は会話、自信、モチベーション、文化的理解といった人間的要素が不可欠です。Preplyのチューターは学習者にとって代えがたいエネルギーや動機付け、文化的ニュアンス、人的つながりを提供しますが、同時に個別の学習計画やレッスンノート作成といった反復的な作業にも直面します。学習者側も進捗を明確に把握したいというニーズが高く、そこでAIを「置き換え」ではなく「強化」として活用する機会が見出されました。
解決策:Lesson Insights(OpenAI API活用)
Preplyが開発したLesson Insightsは、各レッスンをパーソナライズされた学習体験に変えるOpenAI API搭載の機能です。1:1レッスンを録画・文字起こし(学習者の同意のもと)し、セッション終了直前に要約生成ジョブをスケジュールします。レッスン終了から数分以内に、学習者とチューターのチャットスレッドに構造化された個別レポートが届きます。レポートには次の項目が含まれます:
- レッスンのキーとなるトピックの要約
- 文法の訂正と解説
- 語彙のハイライトと翻訳
- 発音に関するフィードバック
- 次に取るべきおすすめステップ
これらのインサイトはPreplyの自己学習用演習エンジンに直接供給され、個別化された宿題が自動生成されます。結果として、各レッスンが時間をかけて効果を積み重ねる構造化された練習につながります。
「語学学習で最大の機会はパーソナライゼーションにあると思います。個々の人間に特有の要素は、人間だけでは捉えきれないことが多く、AIのほうがはるかにうまくできることがある。」
— Dmytro Voloshyn, Co-founder & CTO, Preply
技術パートナーの選定と社内導入
語学学習タスクに適したモデルを複数評価した結果、OpenAIは一貫して高性能を示し、グローバルなスケールで学習者にサービスを提供するために必要な速度、信頼性、生産準備性を満たしました。Preplyは組織全体にChatGPT Enterpriseを導入し、New York、Kyiv、London、Barcelonaで600名以上の従業員を対象に社内トレーニングを実施しました。週次アクティブ利用率は短期間で60%から95%に急成長し、日常業務へのAI統合に寄与しました。
レッスンを越えて継続する学習体験
Lesson Insightsはユーザー向けAI戦略の中核となりました。生成されたインサイトはチャット上でチューターと学習者が一緒にレビューできる形で提供され、学習者は自分の成長をより具体的に把握できるようになりました。Emily Stott(Staff Product Manager)は次のように述べています:
「学習者は何度も『自分はどうなっているのか? 上達しているのか? 次に何をすればいいのか?』と尋ねていました。Lesson Insightsにより、何について話したのか、目標、扱ったトピック、チューターのフィードバックを正確に把握し、それを非常に個別化されたターゲット練習に変換できます。」
この仕組みにより、各セッションは単発のイベントではなく、時間をかけて蓄積・複利効果をもたらす学習体験へと変わりました。
社内でのAI活用の広がり
現在、Preplyは組織全体でOpenAI APIsを活用しており、カスタマーサービスのワークフロー支援、内部システムの連携、運用プロセスの自動化などに利用しています。Brand Voice GPTといったCustom GPTsは日常業務に組み込まれ、Preplyのトーンやメッセージ、ブランド基準に沿ったコンテンツ作成を支援しています。
また、エンジニアリングワークフローの中核にCodexを採用しており、約94%のPreplyエンジニアがコード生成、PRレビュー、デバッグ、開発ワークフローの加速にCodexやAIコーディングアシスタントを利用しています。これによりルーチンなコーディング作業の時間が削減され、エンジニアはシステム全体のアーキテクチャや顧客課題の解決に注力できるようになりました。
「AIは繰り返しや事務的な作業を担い、人間がもっとも得意とする動機付けやエネルギーとを組み合わせることで大きな機会を生む。」
— Dmytro Voloshyn, Co-founder & CTO, Preply
成果(Results at a glance)
- 95%:ChatGPTの週次アクティブ利用率(Preply従業員)
- 75%:英語学習者のうちLesson Insightsを積極的に利用する割合(OpenAI APIsにより提供)
-
70%:チューターのうちLesson Insights機能を利用する割合
- 約75%:アクティブ学習者のうち、採用後1年以上にわたってLesson Insightsと関わり続ける割合
- 4.7/5:チューターと学習者による満足度(プラットフォーム上で30万件超の評価に基づく)
- 70%:product market fitスコア(強い顧客需要を示す閾値を大きく上回る水準)
Preplyはレッスン単位での高いエンゲージメントを以前から有していましたが、AI生成要約により学習者のモチベーションと保持率がさらに向上しています。学習者やチューターが長期にわたって繰り返し利用していることは、ツールの実際的価値を示す強いシグナルです。
AIは教育の実践的アシスタントに
チューターのMichelle Garcia Ramosは、Lesson Insights導入前は個別宿題やレッスン資料の作成に何時間も費やしていたが、導入後は準備時間が半分以上短縮されたと述べています。AIは効率性だけでなく、教材アイデアの提供、学習機会の可視化、学習者が次に集中すべき点の特定にも貢献し、より準備の整った、焦点の定まったレッスンと学習者の早い上達をもたらしています。
「PreplyのAI機能を使う前はクラス準備と宿題作成に何時間も費やしていましたが、今ではその時間が半分以上に減りました。」
— Michelle Garcia Ramos, Spanish tutor, Preply
リーダーシップの教訓
- AIはツール導入ではなく文化変革として扱う:リーダーシップが明確な戦略を示し、チームが使い方を学び、AIが日常業務の一部になると導入は加速する
- インパクトの大きいユースケースを選ぶ:多くの実験よりも、明確なユーザーバリューと測定可能な影響を持つ少数の機能に深く取り組む方が効果的
- パートナーシップを築く:導入支援、チームの知見育成、顧客課題の最良解の共創を支援できる組織と協働する
「人間を置き換えることが目的ではなく、新しい能力で人間を拡張し、時には職務の本質を再定義することもある。」
— Dmytro Voloshyn, Co-founder & CTO, Preply
実践的なヒント
- 会社の優先事項にする:ChatGPT Enterprise導入を戦略やロードマップ、目標に組み込み、利用を期待事項として明確に示す
- Enablementに投資する:構造化されたトレーニング、ハンズオンワークショップ、社内セッションにより実践的な利用へ移行させる
- ユーザーと協働する:チューターと協力してデータセット作成、プロンプト評価、品質基準の策定を行う
今後の展望
PreplyはLesson Insightsを基盤として、学習者ごとの目標、進捗、強み、課題、学習の好みを何か月にもわたって捉え、各個人に合わせて連続的に適応する体験を構築する計画です。より精密なガイダンス、学習ペース、カリキュラム提案、フィードバックを提供することで、個々人に合わせた学習が実現されます。
「まだ始まったばかりです。AIは語学学習を劇的にパーソナライズします:各学習者は出発点、現状、次に取り組むべきことを明確に把握できるようになります。画一的なカリキュラムではなく、個人に合わせて適応する学習体験です。」
— Emily Stott, Staff Product Manager, Preply
AIはまた、社内プロダクト開発のやり方も変えつつあります。エージェント的な開発ツールの能力が高まることで、より多くの従業員がソリューションの構築に参加できるようになり、イノベーションのスピードや実験の幅が広がり、世界中の学習者とチューターへの支援が強化されます。
「OpenAIは、世界で最良の大規模言語モデルを作った組織として、我々に最も効率的な使い方を教えてくれた。」
— Dmytro Voloshyn, Co-founder & CTO, Preply
最終的にPreplyが描く未来は「人かAIか」ではなく、「人が主導し、AIが支える(human-led, AI-enabled)」ものです。
興味がある企業向けに、Preplyの取り組みやOpenAIの導入事例については販売窓口にお問い合わせください。